中小企業もビッグデータとSaaSを有効利用できる

今年は中小企業もビッグデータSaaSを有効利用できる

2013.01.22 by ゲストライター

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[筆者: Chris Luo]

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編集者注記: Chris LuoはFiveStarsのマーケティング担当VPだ。その前にはFacebookで中小企業向けマーケティングを担当し、またGoogle AdWordsでは、アジア太平洋地区の買収担当マーケティングをやっていた。彼をTwitterでフォローするには、@chrisluoで。

ここ数年で大企業は、ビッグデータSaaSの活用による生産性の向上を経験してきた。しかし、中小企業はその恩恵に与らなかった。後方集団を走ることになった彼らは、懸命に追いつく方法を考えていた。しかし今年は、風向きが変わるだろう。

ぼくはFacebookで中小企業向けマーケティングの担当部長だったとき、ビッグデータSaaSが大企業にもたらすメリットをつぶさに見てきた。膨大な量のデータを分析すると、どこがうち(Facebook)の顧客であるかが分かるだけでなく、彼らがFacebook上で何をやっているか、とりわけ、Facebookの広告プロダクトにどれだけの額を費消しているかが分かる。それらのデータには、Hadoopクラスタを使っているFacebook内製のデータウェアハウスソフトウェアHiveでアクセスできるので、Facebookの大量のデータを比較的容易にクェリできた。

データの視覚化や分析も、やはり内製のツールで高速にできた。また、Tableauのような商用のツールもいろいろ使った。データをトリガとして特定ユーザにメールを自動的に送るなど、ビッグデータマーケティングの統合も、サードパーティの助けを必要とせず、クラウドベースの内製ツールで迅速に行われていた。

若きころの2001年にはCapital Oneでマーケティングアナリストをやっていたが、そのころと今とではデータの扱い方が大きく違う。昔は、サーバの上に関係データベースがあって、それをSQLでクェリしていた。対象とするデータの量は、今に比べると桁違いに小さかった。データの視覚化や分析は、もっぱらMicrosoft Excelでやっていた。新しいマーケティングキャンペーンを立ち上げるためには、社内の複数の部署と協働しながら準備に数週間を要した。

しかし今でも、昔と同じ状況がある。地域企業の多くが、いまだにキャッシュレジスターとWindows CE上のPOSシステムを使っている。ネットショップはGoogle Analyticsを使ってサイトのビジターについて知ることはできるが、FacebookTwitterがやっているようなデータのマーケティングへの活用方法については、まったく無知だ。今ではConstant Contactのようなサービスがあるから、マーケティングのためのメールの自動化は中小企業でも楽にできるようになったが、でもAnalyticsやPOSのデータとメールの統合には限界があり、顧客の特性や行動履歴に基づいて適切なトリガ(メール自動送信トリガ)を設けることは不可能だ。

しかし、変化は現れ始めている。ビッグデータSaaSの融合がやっと中小企業の手の届くものになり、その動きが、今年は加速するだろう。その基本的なメリットは大企業の場合と同じだが、重要な違いもいくつかある。

アクセス: 地域の物理店舗のような中小企業が相手にするビッグデータは、一箇所に集積されている膨大な量のデータではなく、多くの場合、いろんなところに散在しているデータだ。それらの、これまではばらばらだったデータを、まとめることが重要な課題になる。たとえばEuclid Analyticsのようなサービスは、お店の来店者数やその時間帯データの収集と分析を自動化する。それまで、そのようなデータは、手作業で記録し集めるしか方法がなかった。また、中小ネットショップのためのサービスSumAllは、複数のソーシャルメディアGoogle AdWordsGoogle Analytics、それにさまざまなeコマースプラットホーム(Amazon, eBay, etc.)から集めたデータを一つのダッシュボードにまとめる。

視覚化: データの視覚化は、中小企業にとっても重要だ。中小企業向けには、InsightSquaredのようなサービスが、美麗なデータ視覚化ダッシュボードを作ってくれる。ただしそれらの視覚化ツールには、強力なデータ分析機能がない。またそういうツールがあっても中小企業側にその余裕がない場合も多い。しかし、日計〜週計〜月計などのデータをリアルタイムで分析して視覚化してくれるツールは、中小企業にも、ビッグデータ分析を活用している大企業並の強力なインサイト(insight, 洞察)を与える。高度な、顧客ごとに個人化された分析能力を持つ視覚化ダッシュボードを作ること、それが中小企業を顧客とするデベロッパの今年の焦眉の課題だ。

自動化: 中小企業にも、大企業がやってるような行動マーケティング(behavioral marketing, 顧客の行動…買い物等…履歴に基づくマーケティング)ができる。しかも中小企業の場合は、Web上の行動やメールの開封などだけでなく、物理的な来店〜購入履歴を有利に利用できる。行動履歴を利用したリピーター増大マーケティング、ぼくが今いるFiveStarsは、それを“loyalty automation”(なじみ客増加策の自動化)と呼んでいる。地域のお店などにとっては、それこそがまさにマーケティングの自動化だろう。

今年が中小企業にとってデータ利用の重要な曲がり角だ、とぼくが言うのは、そういう中小企業向けデータ分析やその視覚化、そのマーケティング活動への応用、等を提供する新進のサービスが、昨年あたりから、雨後の筍のように登場し始めているからだ。今年はきっと、中小企業にとって、すばらしい年になるだろう。

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