次々と新しいネット・ビジネスが登場する米国では、ネットによる既存事業の「中抜き」が新たなステージに突入している。
roadie 中抜きビジネスとして代表的なのはタクシー配車サービスのウーバー(UBER)だろう。ウーバーはスマホを使って近くにいるタクシーを簡単に呼び出せるサービスで、米国のベンチャー企業ウーバー・テクノロジーズが世界各国で提供している。 サービス内容は国によって異なるが、料金が既存のタクシーより安いケースが多く、先進国、途上国ともに急速に普及が進んでいる。
特に物議を醸しているのが、既存のタクシーではなく、一般人が自身の車を使ってタクシーのサービスを提供できる廉価版サービス。これは各国の法制度の解釈によるので一概には断定できないが、一種の白タクに近いビジネスということになる。このサービスは規制という枠組みに守られてきたタクシー業界のビジネスモデルを根本的に覆す可能性がある。
こうしたサービスは、他の分野に次々と波及している。昨年12月にニューヨーク株式市場に上場したレンディングクラブは、個人の融資を仲介するサービスである。お金を借りたい個人と貸したい個人をネット上で仲介する。本格的にこのサービスが普及することになれば、銀行の融資業務に対する影響は甚大だろう。
Roadieは、荷物の配送を仲介するサービスである。荷物を送りたい人と、ある地域に旅行する予定のある人をマッチングし、手数料を取るビジネスモデルである。参加者が増えれば増えるほど、自分が送りたい地域に荷物を届けてくれる人が増えてくるので、サービス普及に弾みがつくことになる。
米国では、空き家や旅行中で不在になっている個人の家を、ネットを使って1日単位で貸し出すことは、すでに日常的な光景である。中にはトイレを有料で貸し出すビジネスを仲介するスマホ・アプリまである。
このようなアイデアはネットが登場した時からあり、様々な試みも行われてきた。ここに来て、一気サービスが拡大しているのは、当然のことながらスマホが広く普及した影響が大きい。少し長い目で見れば、ネットの登場による産業の地殻変動はこれからが本番なのかもしれない。
一方、こうしたサービスは国家から認証された業者が行うべきだという意識の強い日本では、今のところ米国のような盛り上がりはない。外国企業がデファクトスタンダードになってから、結局サービスを受け入れ、結果的に多くの利益を外国企業に提供するという、これまでのパターンを踏襲してしまうのかもしれない
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