ふるさと納税の改正案に物申す

 

   日本の人口は大都市に集中している。一方で地方都市の人口減少は、若者が大都市圏での就職し、一方で地方は少子高齢化により人口減少が止まらない。それによって大都市圏には潤沢な税収があり地方都市の財源は枯渇する。そこで登場したのがふるさと納税制度である。

 菅官房長官総務相を務めていた平成19年にふるさと納税制度を発案し創設した。「ふるさとへの絆、頑張っている地域を応援したいという気持ちの納税者が納める先を選べる」と言うのがこの制度の趣旨であることを強調した。

 地方に生まれ育った者は、生まれ故郷を離れても、その地域に貢献することができる仕組み。地方などでは、成人までの教育に税金を注いでも、就職するにあたって都市部へ転居してしまうために、注いだ税金分の「元が取れない」という声もあり賛成意見も多く、条例などで使途を限定している場合もある。現住地へのものであっても、使い道に納税者(寄付者)が関与できることとなった。

 自治体が寄附のお礼として提供する返礼品は地場の特産品を採用しており、低迷する地域経済の活性化に繋がる。厳密な「納税」ではなく、「寄付金税制」の一環であれば制度設計は可能である。

 分かりやすく言えば、納税ではなく寄付であるため一定以上の金額を寄付した場合に特典を設けている自治体もある。特産品などの贈呈は多くの地方都市に及んだ。やっと馴染んで国民の間でも歓迎されている制度となった。

 ところが、総務省は、「返礼品3割超の自治体、ふるさと納税は「対象外」にする」と言い出した。野田聖子総務相は9月11日午前の閣議後記者会見で、ふるさと納税で「過度な返礼品」を送っている自治体を制度の対象外とすることを検討すると表明した。与党の税制調査会での議論を経て、来年の通常国会地方税法改正案を提出する。

 返礼品について「寄付額の3割以下」「地場産品」とするよう求めた総務相通知を受け入れない自治体を対象外とする方向だ。

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 ふるさと納税地域活性化を支援する目的で始まったが、家電製品や金券など豪華な返礼品を売りに寄付を募る自治体が増えたことから、総務省は昨春と今春、返礼品競争の是正を求める大臣名の通知を出したのだ。通知に強制力はなく、同省がこの日公表した実態調査の結果では、9月1日時点で「3割超の返礼品」を送っている自治体は全体の13・8%の246市町村。

 ふるさと納税の返礼品規制に必死な総務省、その訳は?

地方交付税普通交付税の計算方法から見ていくと

地方財政計画で事前に普通交付税の金額を決定します。具体的には次の通りです。

普通交付税(財政不足額)=基準財政需要額-基準財政収入額

基準財政需要額=単位費用(法定)×測定単位(人口など)×補正係数

・基準財政収入額=標準的税収入見込額×75%(残りの25%はインセンティブとして市区町村の手元に残ります。)

横浜市の在住の納税者が宮崎県都城市にふるさと納税した例で見て見ると

総務省の負担その1】

 市区町村の現金収支のマイナス分を総務省が負担します。ふるさと納税による横浜市の約29億円の赤字は基準財政収入額が減少するため、「約29億円×75%=約21.75億円」が翌年度に普通交付税で賄われました。この約29億円の赤字分は地方財政計画により、翌年度の基準財政収入額を算定するときのベースになるためです。

総務省の負担その2】

 ふるさと納税に寄付を受けた金額は寄付扱いとなり、基準財政収入額(現金収支の収入)に含まれません。したがって、受け入れた金額がそのまま市区町村の手元に残ります。

都城市は現金収支のマイナス分に、ふるさと納税による受け入れ金額と同額の普通交付税の交付を受けています。

総務省の負担その3】

普通交付税により返礼品の購入代金の一部を総務省が肩代わりしています。

理由は普通交付税の計算要素である「単位費用」の中に返礼品の購入代金を含めて、総務省が計算するためです。

しかも、地元の会社から特産物をあまり購入していない市区町村まで、返礼品の購入代金の一部が普通交付税の交付を受けています。

まとめると、ふるさと納税の制度により

地場産業の育成を財政面の一部を支援しているのは市区町村ではなく、普通交付税を  

  交付している

・地元の会社から特産物をあまり(全く)購入していない市区町村へ返礼品の購入代金

    の一部を普通交付税の交付をしている

ふるさと納税による赤字の75%を補てんしている

・ 受け入れ金額と同額を負担している

つまり、総務省が返礼品規制に必死になるのは、総務省の役人が自由に使える財源を自分たちの手元に残したいだけであり、地場産業や地元で操業する企業の税金が結果的に地方に入っていくことは後回しにしたいのである。

 まさしく官僚天国の最たる証である。障がい者雇用促進の先頭に立つべき官僚は、障がい者の採用もせず水増しの架空雇用をでっち上げ、その咎(とが)を受けることもない。

 一方、民間企業(中小零細企業に至るまで)は、一定数の雇用がなされなければ保険料でそのペナルティーを支払うという過酷な法制度なのである。誰がこんな馬鹿げた法律を作ったのか、国会議員先生もしっかりと勉強しないといつまでも官僚に虚仮(こけ)にされるよ!!

 余談であるが、国会議員の最終学歴、取り分け二世、三世議員の最終学歴ほどは能力図る物差しにはならない、だって祖父や親父の口利きで裏口入学しているからだ。官僚も当然知っているし国民も分かっているから・・・

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