【図解】トランプ革命とグローバリズムの終焉|米国の真の支配構造とは?
「トランプ大統領の登場は偶然ではない」「グローバリズムは終わりを迎える」——。
今回は、国際政治アナリストの伊藤貫氏と松田学氏の対談を元に、現代を理解する上で欠かせない「グローバリズムの正体」と「アメリカの深層でうごめく勢力」について、図解を交えながら分かりやすく解説します。この記事を読めば、世界のニュースの裏側で何が起きているのか、その本質が見えてくるはずです。
1. グローバリズムの始まりと米国の「真の目的」
伊藤貫氏によると、今日の「グローバリズム」が始まったのは、1992年2月だと言います。そのきっかけは、1991年12月のソビエト連邦崩壊でした。
唯一の超大国となったアメリカは、「これからは我々が世界を支配する時代だ」と考えました。この思想は、「ユニポラ・ドミナンス(単極支配)」と呼ばれ、その具体的な計画が、国防総省の機密文書「ディフェンス・プランニング・ガイダンス」に記されました。
衝撃的だった米国の「仮想敵国」
この文書で驚くべきことは、アメリカが定めた仮想敵国です。それは、ロシア、中国だけでなく、なんと同盟国であるはずのドイツと日本も含まれていました。
彼らの目的は、これらの国々が世界的なリーダーシップはもちろん、「地域的なリーダーシップ(リージョナル・リーダーシップ)さえも取れないようにする」ことでした。日本やドイツが、アジアやヨーロッパで主導権を握ることを徹底的に封じ込める戦略だったのです。
2. グローバリズムの正体=「新植民地主義」
「Win-Winの関係を築こう」という美しい言葉の裏で、グローバリズムはアメリカだけが儲かる仕組みでした。伊藤氏はこれを「ネオ・コロニアリズム(新植民地主義)」だと断言します。
「要するに、アメリカ以外の国を全部植民地の労働者みたいにして、アメリカの資本が、アメリカの株主が儲かる、金融業者が儲かる。結果を見てみたら、Winの利益のうちの8割か9割はアメリカに持って行かれちゃう」
その典型例が、クリントン政権時代のロシアです。「経済改革を助ける」という名目で、ゴールドマン・サックスなどの金融機関がロシアの資源を実質的に略奪。2000億ドル以上のお金がアメリカに流れ込み、米国の金融業者や政治家、マスコミまでもがその恩恵を受けました。
この構図は、日本の「失われた30年」と無関係ではありません。日本もまた、この新植民地主義の枠組みの中で、富を吸い上げられてきた側面があるのです。
最大の過ちは「自国民も搾取したこと」
しかし、アメリカのグローバリストたちの最大の失敗は、搾取の対象を「アメリカの労働者」にまで広げてしまったことです。その結果、アメリカ国内で凄まじい貧富の差が生まれ、国民の6〜7割が貧しくなっていきました。
この庶民の怒りをエネルギーにして登場したのが、2016年のドナルド・トランプ大統領でした。トランプの登場は、突然変異ではなく、グローバリズムが生み出した必然だったのです。
3. 米国を操る「ネオコン」と「ディープステート」の構図
トランプ大統領が戦う相手として口にする「ディープステート(国家の内部で隠然たる力を持つ勢力)」。その中核をなすのが、「ネオコン(新保守主義者)」と「イスラエルロビー」だと伊藤氏は指摘します。
ネオコンとは何者か?
- 1930年代にニューヨークで生まれたユダヤ系の知識人グループが源流。
- もともとは民主党にいたが、カーター政権と対立し、レーガン政権以降は共和党へ。イラク戦争などを主導した。
- トランプが登場すると、今度は反トランプとして民主党側に戻るなど、党への忠誠心はない。
- 彼らの目的は、「アメリカという国家を利用して、自分たちの(そしてイスラエルの)利益を最大化する」こと。
彼らは民主・共和の両党を巧みに利用し、米国の外交・戦争政策を裏で動かしてきました。ウクライナ戦争が泥沼化している背景にも、ビクトリア・ヌーランド国務次官のようなネオコンの存在が深く関わっています。
4. トランプの葛藤と複雑な現実
では、トランプ大統領は100%信頼できる救世主なのでしょうか?伊藤氏は、「ヒラリーやバイデンよりはマシだが、信用しているわけではない」と複雑な見方を示します。
なぜなら、トランプ自身もこの構造と無関係ではないからです。
- トランプの娘イヴァンカの夫、ジャレッド・クシュナー氏はユダヤ系の金融業者。
- クシュナー家は、イスラエルのネタニヤフ首相と極めて親しい関係にある。
このため、トランプは「戦争はやめるべきだ」という本音を持ちながらも、イラン問題などでは、イスラエルロビーやネオコンの圧力に屈服し、強硬策を取らざるを得ない場面が見られるのです。彼もまた、巨大なシステムの中で葛藤する一人のプレイヤーなのかもしれません。
まとめ:私たちが知るべきこと
今回の対談から見えてくるのは、世界の出来事が単純な善悪二元論では語れないという事実です。
- グローバリズムは「アメリカ一極支配」のための戦略であり、日本もそのターゲットだった。
- その本質は「新植民地主義」であり、自国民さえも搾取の対象とした結果、トランプのような存在を生み出した。
- 米国の政治は「ネオコン」や「イスラエルロビー」に深く影響されており、大統領でさえ彼らの意向を無視できない。
これらの構造を理解することは、国際ニュースを正しく読み解き、これからの日本の進むべき道を考える上で、非常に重要な視点を与えてくれるでしょう。
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